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――私は助けてくれた人に恩返しをするため、そして自分も助ける側になる為に―― ――私は兄の無念を晴らす為、兄の技術で兄の夢を叶える為に―― リリカルプロファイル 第十話 準備 此処は第四陸士訓練校、その訓練校の中に若き訓練生がいた、スバル・ナカジマとティアナ・ランスターである。 彼女たちが持っているデバイスは市販・支給された物とは異なり ハンドメイドのデバイスである為、よく組まされていた。 今日も午前の訓練も終わり、スバルはいつものようにティアナを食堂へ誘っていると、後ろ髪を結った青髪の青年に声をかけられる。 「へぇ~お手製のデバイスかぁ~随分と珍しいデバイス持ってんじゃねぇか」 デバイスをマジマジ見てくる青年のその態度にティアナは強い不快感を覚え、スバルの手を取り足早に食堂へ向かおうとする。 「スバル、行くよ」 「えぁ!?うん…」 「何だよ!何怒ってんだ!?」 「…それはお前の態度のせいだろ」 その声に振り向くと、そこには金色の短髪の青年とボーイッシュな髪型の女性が立っていた。 「なんだグレイ達か、俺なんか変な事したか?」 「自覚が無いのかカシェル……」 「何なんだよ!!」 グレイと呼ばれた青年は頭を押さえ左右に振る、その中女性の方はティアナ達の方へ向かい話をかけていた。 「ゴメンね、うちのバカが不快な行動とって」 「いえ……」 「お詫びと言っちゃ何だけど、昼食奢ってあげる………カシェルが」 「なにっ!俺がか!?」 「当たり前だろ、こぉんな可愛い乙女の心を傷つけて」 「おっ乙女って…エイミにそんなこと分かるのかよ!」 「…………火吐くよ」 「ゴメンナサイ……」 平謝りするカシェルに満面の表情で納得するエイミ。 そしてスバル達の背中を押しながら食堂で向かおうとすると、スバルが問いかけてきた。 「あの~いいんですか?」 「良いの良いの、自業自得なんだから」 そのまま食堂へ向かうエイミ達、その場ではカシェルが頭を抱えていた。 「マジかよ!俺今月ピンチなんだぜ!」 「…まぁ諦めろ」 片手で肩をポンッと叩きその場を後にするグレイ、その後ろを財布の中身を確認しながら後を追うカシェルであった。 場所は変わり此処は食堂、円テーブルにはグレイ・エイミ・ティアナ・スバルの順に座って自己紹介がてらカシェルを待っていると、 指を震わせながらテーブルを指すカシェルが現れた。 テーブルには山盛りのパスタに焼き飯にオードブル、てんこ盛りのサラダとフルーツの盛り合わせが並んでいた。 「おっお前等、それ…全部食う気か!」 「だって私達育ち盛りだもん」 「エイミ!お前は違うだろ!」 「………火吐くよ」 「ゴメンナサイ…」 「エイミ…あまりカシェルをいじめるな」 「そう言いながら、なに焼き飯よそってんだグレイ!!」 文句と共にツッコミを入れるカシェル、カシェルは頭を掻きつつレジに向かい金を払うと落ち込んだ様子で席に着く。 その間にエイミは自分の分のパスタをよそっているスバルに話しかける。 「そう言えばスバルってどういうきっかけで此処に来たの?」 「私ですか?私は三年前の火災がきっかけ……かな」 スバルの言葉にエイミが問い掛けるとスバルは話し始めた… 三年前の空港火災、その日スバルは空港で見学をしていたところ火災が発生し逃げ遅れたと。 辺りが黒煙に包まれている中、ある人物に助け出されたと語る。 「その日からかな、今度は自分が助ける立場になりたいと思ったんだ」 「それで此処に?」 エイミ問いに大きく肯くスバル、エイミはスバルの言葉に大きく賛同していると今度はグレイがティアナに質問を投げかける。 「ではティアナはどうなんだ?」 「私は………」 暫く沈黙が続き、意を決して話し出すティアナ。 自分は魔導師集団リンチ事件の被害者の身内であると、 被害者である兄は執務官を目指していたが、事件に巻き込まれ夢半ばにして亡くなった。 兄の為に自分が出来ることは無いか…ティアナの考え出した答えたが、 兄の夢を兄の技術で叶える、それが兄に対する供養と思い、此処へ来たと語る。 「両親はこの事を?」 「……両親は兄が亡くなるずっと前に…天涯孤独って奴です」 「な~んだ、んじゃ俺達と一緒か」 「えっ!?」 重い空気になりかけた瞬間、カシェルがあっけらかんとした口調で答え、逆にティアナが質問を返す。 「それは…どういう事ですか?」 「俺とグレイは孤児なんだ、しかも生まれた日なんざ覚えちゃいねぇ、物心がついた頃にはもう孤児院にいたってわけ」 自分は聖王教会の入り口に「お願いします」と書かれた置き手紙と共に置き去りにされていたと。 そして自分の名前も教会の人間がつけたものでグレイもまた似た境遇だと語る。 「まぁ、バカが二人いるから落ち込む暇なんざねぇんだけどな」 「………お前にバカと言われる筋合いは無いんだが」 「………………火吐くよ」 「ゴメンナサイ………」 間髪入れず謝罪するカシェル、すると今度はスバルが質問を投げかける。 「あの~さっきからエイミさんが言ってる、火吐くよって?」 「バカねスバル、比喩的表現に決まっ―――」 「あぁ、あたしドラゴンと人間の混合種、ハーフなんだ」 一瞬場の空気が凍り付く、カシェルとグレイは知ってたらしく沈痛な面持ちでエイミを見るが、笑顔で頷く。 自分はハーフだと答えてみたが、正式には竜の遺伝子とヒトの遺伝子を掛け合わせて造られたキメラ体で、 興奮が理性を越えてしまうと竜化し暴走してしまうと語る。 「最近は短時間ならコントロール出来るようになったけど、昔は手当たり次第暴れていたなぁ」 二十年以上前、とある研究施設にてエイミは発見され、暫く本局の保護施設にて過ごしていたが、 小さなストレスですら竜化してしまうエイミに対し、拘束具や安定剤などの処置で押さえつけられていたと。 その姿を見た先代の聖王教会代表がエイミの受取人となり、 その後すぐ孤児院に入り、そこでカシェルとグレイに出会ったと語る。 「最近まで自分の力に恐れ呪ったこともあったけど、ある人がこう言ってくれたんだ、 “生きる意味を見失わなければ人は強く生きていける”ってね」 その言葉に自分は救われ、その人の力になりたいとエイミは笑顔で語った。 五人は各々の胸の内を明かし、それがきっかけで仲良くなり昼食の時間はあっという間に過ぎ去っていった。 場所は変わり、此処は木々が生い茂る訓練所、この場所で午後の訓練が開始される。 午後の訓練は弾丸回避訓練と呼ばれる訓練で、 襲ってくる魔力弾または誘導弾を一定時間回避、もしくは教官が操るコントロールスフィアを撃破する事でクリアとされる。 今回スバルのパートナーはカシェルで、いつものティアナではなかった。 この訓練校は様々な相手と組む事で臨機応変な対応を培い、いつでも誰とでも実力を発揮出来るようにすると言う方針を立てている。 スバルとカシェルは開始前にそれぞれのデバイスを起動させる。 スバルは拳装着型アームドデバイス、リボルバーナックルと自作のローラー カシェルは身の丈以上、幅もカシェルが隠れるほどの大剣型アームドデバイスを起動させた。 「ヨロシクな、スバル!」 「はい!カシェルさん!」 「あ~カシェルで良いぜ」 「えっ!?でも年上だし……」 「良いんだよ、俺はそういうの気にしねぇし」 「…………分かった!カシェル!」 二人は何気ない会話の後、それぞれ構えると訓練開始のベルが鳴った。 開始のベルと同時に五つの魔力弾が二人を襲う、二人は二手に分かれ魔力弾を回避、 だが五つの内二つは誘導弾で、それぞれに襲いかかった。 カシェルは木の前まで移動すると左に跳躍するように高速移動、誘導弾は見事に木に直撃した。 ソニックムーブと呼ばれる高速移動魔法である。 一方スバルはウィングロードを展開、上空へと逃げると、地上から魔力弾が放射される。 スバルはウィングロードを介して魔力弾を回避していく。 地上から放射された魔力弾は全て誘導弾ではない為、大モーションの回避行動でも回避できていた。 上空で辺りを見渡していると、木々が薄くなっている所に移動しているスフィアを発見、スバルは一直線に急降下を始める。 一方カシェルは大剣を背負いながら初弾の位置へ移動、すると木々から魔力弾が飛び交う、 カシェルは一つ一つ丁寧に回避すると魔力弾が発射された方向へと向かった。 上空から降りたスバルはスフィアを追いかけていると、スフィアから魔力弾が七つ発射される。 スバルは魔力弾を回避しつつ構え、デバイスから薬莢が一つは移出される。 ナックルのスピナーが回転し始め衝撃波が拳を纏う、リボルバーキャノンと呼ばれる攻撃魔法である。 一方同じくスフィアを探していたカシェルは、先に発見し攻撃を仕掛けようとしているスバルを発見。 スバルの後ろには先程回避した魔力弾の内、誘導弾が二つ紛れていたらしく、反転してスバルに向かっていた。 「リボルバぁぁぁぁキャ―――」 「スバル!後ろだ!!」 カシェルの声に振り向くスバル、しかし時すでに遅く魔力弾は回避できない距離まで詰まっており、スバルはなす統べなく右肩と右足に直撃した。 「キャアァァァァァ!!!」 直撃した衝撃でスバルは左足を踏ん張ってしまいローラーがロックされ激しくスピン、 本来ならなんてこと無く制御できるローラーであるが、 予測外の出来事にパニックを起こし制御できないでいた。 スバルはスピンしながら木へと向かっていき、激突は免れないと悟ったスバルは歯を食いしばり覚悟を決めた。 木に激突する瞬間、木とスバルの間に何かが割り込む。 木とスバルの間には背中に大剣を背負ったカシェルの姿があった。 「イチチチッ…大丈夫か?スバル」 「あっありがとうカシェっつ!!!」 安心した為かロックした左足が痛みを感じ始める。 そこに教官が現れ左足をみてもらうと、捻挫の可能性があると指摘 教官はカシェルに医務室まで運ぶように指示をすると、 スバルの背中と両膝に手を掛け持ち上げる。 いわゆるお姫様だっこの状態であった。 「あっあの…………」 「暴れるなよ、運び辛くなるからよ」 「いや………恥ずか…しいんですけど……」 「なんで?」 顔を真っ赤に染めて言葉を口にするスバルだが、あっけらかんとした口調で答え、スバルを運ぶカシェルであった。 その様子をモニター越しで見ていたエイミはニヤケた表情で呟いた。 「こりゃ……フラグ立ったかもね」 「フラグって?」 エイミはティアナに問いかけられそっと耳打ちすると、頬を染めて否定するティアナ、 更にエイミは耳打ちすると、頭から湯気が出るほど真っ赤に染まり黙り込む。 その様子を見て大笑いするエイミに、チョップで頭を叩きツッコむグレイであった。 場所は変わり此処は聖王教会の会議室、部屋の中心にはカリムが座っており、 カリムから見て右にはユーノ司書長、左にはクロノ・ハラオウン提督とゲンヤ三佐、 そしてカリムの正面には八神はやてが座っていた。 彼らが此処に集った理由は半年前に行ったカリムのレアスキル、プロフェーティン・シュリフテンによってもたらされた預言の翻訳が完了した為である。 彼女のレアスキルは年に一度、月が重なる時期に使用可能で、半年~数年に起きる出来事を詩文形式で書き出す能力である。 預言は全て古代ベルカ文字で書かれていて一つの文字に複数の意味が含まれている物が多く、かつては翻訳にかなりの時間を要していた。 だが、無限書庫の司書長であるユーノの協力により翻訳はスムーズに進み半年で一応に終了、足早に提示する事となった。 そして翻訳の指揮をとったユーノが、代表として預言を読み上げる、預言の内容はこうである。 ――旧い結晶と歪みの神と無限の欲望が交わる地―― ――死せる王の下、聖地にて彼の翼が甦る―― ――不死者達は踊り、中つ大地の奉の剣は折れ、法の塔は虚しく焼け落ちる―― ――法の塔が焼け落ちし時、彼の地より神々が先兵を引き連れ現れん―― ――神々と死せる王が相対する時、神々の黄昏を告げる笛が鳴り響く―― ――それを先駆けに数多の海を守る法の船は龍の咆哮により砕け落ち、彼の地は焔に包まれん―― ――歪みの神より生まれし異形の巨人は死せる王の血肉を喰らい彼の翼を獲ん―― ――翼を獲し巨人は彼の地を滅し、機械仕掛けの女神が地を産み、無限の欲望は法を創り、楽園へと到る―― ――楽園に至りし時、歪みの神は女神と共に翼を駆り天を目指す―― 一通り読み終え辺りが沈黙に包まれる中、はやてが呟くように感想を述べた。 「……まるで預言っちゅうより、黙示録やな…」 「うん、僕も翻訳しててそう思った…それでね、この翻訳の中に気になる文があったんだ」 「気になる文?」 その声に頷くユーノ、その気になる文ははやてに関係ある文だとユーノは説明する。 「なんや、その文っちゅうんわ」 「それは此処の文“神々の黄昏”これは他に“ラグナロク”と言う意味もあるんだ」 その意味に一同がどよめき、その中で一番驚いていたのははやて自身であった。 ラグナロク…はやてが持つ夜天の書の中に記載されている魔法の中で 最強と呼ばれるのに相応しい威力を持つ魔法である。 その魔法と同じ名の文にはやては詠唱を思い返していた。 詠唱は確か「響け、終焉の笛」……預言に記載されている文と共通点がある事に、はやては思わず聞いてみた。 「っちゅう事は、ウチがラグナロクで神様に戦いを挑むっちゅう訳なん?」 「一概にそうは言えないよ、比喩的表現かもしれないし」 逆に魔法のラグナロクこそ、神々の黄昏の比喩的表現と言う可能性もあるとユーノは示唆する。 だが、どちらにせよ神々の黄昏が起きれば世界は滅亡する、 それを止めるには神々の黄昏が起きるきっかけ、法の塔の壊滅の阻止だとユーノは指摘する。 「中つ大地の奉の剣と法の塔…僕の考えだと地上本部の事を指していると思うんだ」 「つまりは、地上本部さえ落ちんかったら滅亡は阻止出来るんと?」 「おそらくな…そこで、はやてが前もって言っていた計画を推進しようと思う」 クロノの言葉に身を乗り上げ迫るはやて、だが計画を実行に移すには色々と問題をクリアしないといけない為、 あと二年はかかるかもしれないとクロノは指摘する。 だが、はやては計画を描いてから三年経った今、後二年で実行に移せるのならその間に最高のメンバーをかき集めると活き込んでいた。 そしてはやては顔をカリムに向け願い出た。 「ちゅう訳でカリム、シグナムとザフィーラ返して」 「シグナムは良いですけどザッフィーはイヤです」 「何でや!世界の存亡が掛かっとるんやで!それにザッフィーってなんや!!」 「私が付けたあだ名です、可愛いでしょ」 「かっ可愛いって…カリム、ザフィーラの正体知らんからそんな事――」 「知ってますよ、中々のナイスガイじゃないですか」 「なっナイスガイやて!?」 幸先がこれではこの先、前途多難になりそうだ…はやてはそう思っていた。 ――暗い…創られて幾年月…仲間はみんないなくなった―― ――アタシは…なぜ此処にいるんだろ…いつ消えるのだろう―― ――…アタシは何の為に創られたんだろ―― 此処はとある研究施設、ここで一人の白衣の男がAdapter.Gimmickと書かれた部屋に入っていく。 部屋の中には悪魔に似た翼を持つ小人サイズの少女が拘束されていた。 少女の上にはAG-10と書かれたプレートが掲げられており、 左右にはAG-09、AG-11と書かれたプレートも存在していた。 白衣の男は少女を手にすると別の部屋へと向かう。 部屋には沢山の白衣の人がおり、その中で少女はベッドの上で拘束されていた。 少女の頭・手足にはコードが繋がれており、コードの先には赤い結晶体が繋がっていた。 白衣の人達は実験を行おうとしていると、激しい爆音が響く。 爆音の後、扉には七歳ぐらいの少女が現れ、少女は魔法陣を展開すると人型の召喚虫を呼び出す。 「ガリュー……」 少女の声にガリューと呼ばれた召喚虫は白衣の人達に襲いかかる。 白衣の人達は阿鼻叫喚の中、幾人か逃げ出し、一人の白衣の男が問い掛ける。 「なっなにをする!何故こんな事を!!」 「煩い…あなた達はマグロになっていればいいの……」 呟くように告げ指を指すと、ガリューは襲い掛かり白衣を真っ赤に染めた。 少女はコードを抜き赤い結晶体を掴むと何かを調べるように眺めていた。 「……外れ…」 そう一言呟き近くにあったケースに結晶体をしまっていると、少女と目が合い見つめていた。 その中、入り口から槍型のデバイスを持った大柄の男が姿を現す。 「ルーテシア、レリックは手に入れたのか」 「ゼスト……あれ…なに?」 ルーテシアは少女を指さすとゼストはユニゾンデバイスだと答える。 ゼストの話ではユニゾンデバイスはまがい物が多いのだが、あれは本物だと語る、 恐らく此処でユニゾンデバイスの研究の為にモルモットにされたのだろうと説明する。 その説明を聞いたルーテシアは少女に近づき拘束具を破壊する。 「……これであなたを縛る物はない」 「あっ……助けてくれてありがとう…」 「……そう…じゃあ」 「まっ待ってくれ!助けてくれたお礼に一緒に付いて行っていいか?」 「…私達と?」 少女は頷くとルーテシアは手を伸ばし少女は手の上に乗る。 「あなた…名前は?」 「……ない…周りはアタシの事、烈火の剣精とかAG-10とか呼んでた」 「……AG-10…AG…アギ……アギト…」 「アギト……アギトか!!」 アギトと名付けられた少女はルーテシアの周りを嬉しそうに飛び回っていた。 …アギトはやっと自分の居場所を見つける事が出来た… 場所は代わり此処はゆりかご内、中ではレザードとスカリエッティがモニターを介し情報交換を行っていた。 「では戦闘機人は一応に完成したんだね」 「えぇ…あとは教育を施すのみです、そちらのレリックの方はどうです?」 「順調に集まっているよ、ルーテシア達はよく動いてくれているからね」 レリックウェポンたるルーテシア達はユニゾンデバイスを手に入れ、 ガジェットも不死者も順調に量産し戦闘機人も完成した。 あとはゆりかごと“鍵”さえ出来れば計画を実行に移せる。 ―――“ラグナロク”と呼ばれる計画を――― 前へ 目次へ 次へ
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火神——マーズ—— グリーンの部屋のドアを開け、彼との邂逅を得ようとしていた。 ――その筈だった。だが、 「ここは……何処だ……?」 いきなり見知らぬ場所に連れてこられての拘束/高町なのはの友人らしき人物の死/そして殺しあえ。 その次の瞬間には、また違う場所へ。 チェシャキャットのイタズラだろうか――否/動機が不明。 またヴァイオレット/マーチヘア/バロールの魔眼のように幻覚を見せる能力を有していない。 それに向こうもこちらの情報を欲しがっていたと思われる。 そのチャンスを見逃すほど、グリーンも愚かではない。 二つ目の可能性――管理局――先の戦闘で見せたARMSの能力を恐れての強行。 それも否――もう一つのARMS/キース・レッドの存在に対抗するために自分は有用。 また処分を考えての行動にしても目的達成には迂遠すぎる。 三つ目の可能性――管理局の敵対勢力/列車上にいたサイボーグ。 動機/目的/いずれも不明。だが、前者の二つよりは可能性が高い。 彼らについて、顎を手に当て考える。 ――思考は空白を維持――情報が不足。 より詳しい情報/あの場で主催者らしい女と接していた高町なのはとフェイト・T・ハラオウンに会う必要がある。 と、いつの間にか手に持っていたバッグに気がつく。 恐らくはあの女/プレシアの仕業――意図が不明。 確認のために中を開ける。 食料/水/ランタン/時計/筆記用具/コンパス/地図/名簿/車の鍵/そしてカードが数枚。 これで殺しあえというのか。思わず失笑が漏れる。 だが、自分にはARMS/人を殺すには十分なものがある。問題はないのだろう。 中にあった地図を広げ、この場を形成しているであろう地形を覚える。戦略や戦術において地理の把握は必要不可欠。 今後、どう行動するにしても、覚えておいて損はない。 続いて名簿に目を移す。 その内容に目が開く――キース・レッドの名前を確認。 このゲームの主催者/レッドを含む組織との等号が崩れる――それともレッドは廃棄処分にされたのか。 ――だが、これは好都合かもしれない。 首輪が爆発したところで、コアが大丈夫な限り、その傷はARMSの能力によって再生される。 よって、死を脅迫材料にして、行動を強要するのは無意味。 しかし、未だ全容を把握出来ぬミッドチルダの科学技術に魔法技術。 もしかしたら首輪だけによってARMSを殺すことが可能なのかもしれない。 その確認のためにもレッドの首輪を、彼が生きている状態で破壊することが必要となってくる。 そこまで考えて、一度名簿から目を離す。 そしてこれからの行動の指針を考える。 闘争は自分のプログラムの核/己の存在意義/故に殺し合いに忌避はない。 だがキース・ブラックの呪縛/戦闘生命としての生は終わりを告げた。 今更、また他人にその呪いの戒め/戦闘の強要をされる謂れはない。 今は自分の意志で闘いを選び、自分の道を歩いていくと決めたのだ。 ――それが管理局に入局した理由。 ならば、この闘争を管理局の勝利として終わらせるのが自分の道/自分の闘い――そして自分の意志。 まずは六課のメンバーと合流して、情報を纏めるべきか。 立体駐車場に並んでいる数台の車に順々にバッグの中に入っていた鍵を指していく。 ――やがてジープを思わせる車に鍵がはまる。 軽快なエンジン音、スムーズなハンドリング、安定したホールディング――悪くない支給品だ。 目的地/機動六課隊舎へ向かう。 他のメンバーが向かっている可能性、彼らがいなくとも何かの情報/武器がある可能性。 ――それらを考慮しての判断。 だが、思いの外、すぐに機動六課のメンバーとの再会を果たす。 車を出して数分後、車のライトに照らされた後ろに束ねられたピンク色の長い髪/ それと調和するようにあしらわれた騎士甲冑/右手に持つ剣/機動六課所属ライトニング02副隊長/烈火の騎士/シグナム。 ジープを降りて歩み寄る。 「シグナム、無事だったか?」 同じ職場の仲間を案じての発言――だが彼女の顔に浮かぶ微かな疑問/眉間に皺が寄る。 「……お前は私を知っているのか?」 質問の意図が不明/何かの冗談だろうか。 「知っているも何も同じ機動六課のメンバーだろう」 その言葉によって彼女の表情が正される。 自分の存在をちゃんと認識してくれたのだろう。 ――だが、返ってきた彼女の言葉は自分の予想とは、またかけ離れたもの。 「お前のことは知らん。悪いが記憶にはない。 ……だが、例え本当にお前とは知り合いであったとしても、私のやることには変わりはないはだろう」 どういうことだ――その疑問を口にする前に彼女が剣を構え、それを振りかぶり、迫ってくる。 「死ねっ!」 彼女の手には不似合いな大きな剣が、激昂の言葉と共に振り下ろされる。 切るという言葉は生易しく、正に破壊の体現/衝撃と共に破砕されるアスファルト。 それを跳んでかわし、確認のために問う。 「お前は本当にシグナムか?」 「……ああ、私は烈火の騎士、シグナム。だからこそ、お前には死んでもらう」 再び振るわれる大剣/明確な殺意を含み、命を摘まんと迫ってくる。 理由は分からないが、彼女はこのゲームに乗ったようだ――故にこちらも戦闘態勢に移行する。 それと同時に死と破壊を内包する剣が目前に迫らんとする。 だが、その迫力とは裏腹にそれは存外に見切りやすい。 その大きさゆえの初動の遅れ/その重さゆえの二撃目/斬り返しの遅れ。 ――容易にかわすことが出来る。 加えて、先の模擬戦において愛剣/レヴァンティンを持つ彼女との対峙。 それと比べれば、遜色は明らか。 隙を見つけ、そこに蹴りを入れ、更に怯んだ隙に起動したARMSの腕を叩き込む。 しかし、流石はシグナムといったところか――致命傷は避ける。 そこに驚きはないが、一つに気にかかる点――ARMSを起動した瞬間、シグナムが見せた表情/驚愕/戸惑い ――そこに生まれる疑問。 「本当に俺を知らないのか?」 返答は沈黙――恐らくは肯定を意味。 より詳しい情報を望むが、今の彼女からそれを得るのは難しいだろう。 それならば情報は惜しいが、他の管理局員に被害が及ぶ前にシグナムを殺すことが得策か。 滲み出たその殺意に呼応するように、彼女は剣を手に襲い掛かる。 だが、それは無意味。 シグナムの能力/戦い方は既に知っている。 反対にシグナムはアレックス/シルバー/ARMSの能力/戦い方を知らない。 それは戦闘における一つ一つの判断速度に差をもたらし、時間の経過と共に二人の優劣をより明らかにしていく。 そして再びシグナム身に刻まれるARMSの爪痕――出血と共に堪らず片膝をつく。 それを悠然と見据え、左腕に力を込め、ブリューナクの槍/荷電粒子砲の発射態勢に入る。 しかし、心に感じる躊躇い――眼前にいるのは間違いなくシグナム/管理局員。 故に確認のために最後に問う。 「お前は管理局員ではないのだな?」 シグナムは瞑目し、その答えを考える。 騎士としての矜持/命の重さ/使命感を天秤に載せながら……。 そして紡がれる言葉。 「……お前ほど強さを持っているものと出会っていれば、覚えている。 出来ればレヴァンティンを持って、お前と戦いたかったがな……」 答えは否定――それならば容赦する必要はない。 細められるシグナムの双眸からは、諦観とも取れる言葉とは反対に、折れることのない意志が見受けられる。 だが、それがどうしたことか。 ブリューナクの槍/焦点温度数万度――触れずとも、その熱と衝撃の余波だけで殺害は可能――必死は免れられない。 だが、光の槍はARMSからは放たれず、代わりに横合いから女性の甲高い声と共に 幾つもの固まりとなった光弾がアレックスに襲い掛かる。 「クロスファイヤー、シュートォッ!」 舌打ち一つ/発射プロセスを中断――急いで被弾圏内から離れる。 しかし誘導制御を受けた高密度の魔法弾にその対処法は無意味――距離を取って尚、威力を損なうことはなく、対象を狙う。 仕方なくARMSの腕を盾代わりに使用――衝撃と共に訪れる倦怠感/疲労/非殺傷設定の魔力弾の効果。 その射手は橙色の髪/ツインテール/手に持つ銃/機動六課スターズ03/ティアナ・ランスター。 彼女はこちらに銃を向けながらシグナムとの間に立った。 ■ 「大丈夫ですか?シグナム副隊長?」 支給されたデバイス、アンカーガンを油断なく構えながら、 シグナムのもとに歩み寄る。 「……ああ、すまん……助かった」 その一言は決死の覚悟で舞台に降り立ったティアナの心を沸き立たせ、喜ばせた。 シグナムを圧倒する存在。その前では間違いなく自分の実力などたかが知れている。 もしかしたら、シグナムの助けになるどころか、足手まといになってしまうかもしれない。 そういった不安は六課での経験、執務官補佐としての働きを経て尚、感じるものだった。 だけど、現状は予断を許さない。 その緊迫した状況は大切な仲間を失いたくないという一念により軽挙とも言われる行動に移させた。 私の行動は余計なものだったかもしれない――シグナムの元に近づきながらも、感じる僅かな不安。 だけど、それを綺麗に取り払ってくれるかのようにかけられる感謝の言葉。 自分の行動は正しかったのだ。 ――知らず知らずの内に頬が緩んでしまう。 とはいえ、いつまでも喜悦に浸り、油断をしている暇などはない。 表情に緊張を与え、アンカーガンを握る手に力を込める。 2対1になったからといって、相手が大人しくなる理由にはならない。 「私は時空管理局執務官補佐、ティアナ・ランスター。あなたを傷害及び殺人未遂の現行犯で逮捕します」 ハラオウン執務官の元で働き、身についた口上。 犯罪者に対して、ましてこの状況において、どの程度効果があるかもしれないけれど、 ある程度は脅しになる――そう思っての行動。 だけど、返ってきた彼の言葉は余りに予想とはかけはなれたものだった。 「俺は時空管理局機動六課所属、アレックスだ。このゲームには乗っていない」 耳に届けられる言葉は余りに馬鹿げたものだった。 よりにもよって自分がかつて所属し、既に解散してしまった部隊名を名乗りあげる。 その明白すぎる嘘は、思わず笑ってしまいたくなるものだった。 だけど、その滑稽な嘘に不思議と笑いは込み上げてこなかった。 代わりに感じたのは、かつてないほどの怒り。 犯罪者が、それも今、目の前で尊敬すべきシグナム副隊長の命を奪おうとしたものが、 自分が信じた正義を体現し、尊敬と愛着を感じていた部隊の名を騙る。 それは自分の過ごした思いを汚し、自分が築き上げた大切なもの全てを侮辱するようなものだった。 故に相手がどんなに自分を超える強さをもっていても、それは決して許せるものではない。 「ふざけんじゃないわよっ!!あんたなんかにっ……!」 我先にと口から飛び出す怒号。彼にぶつけられる怒りの言葉。 だけど最後までそれを吐き出す前に、中断を余儀なくされる。 胸に違和感――そこには何故かシグナムが持っていた剣が生えていた。 「……な……ん……?」 さっきまでの勢いが嘘のように言葉が生み出せない――何故だろう? だけど、言葉の意が伝わったのか、後ろにいるシグナムは答えてくれた。 「すまない……主のためだ」 耳に入る言葉に何故か納得。 意味が分からないが、彼女がここまですることなら仕方ないことなのかもしれない。 だけど、胸を貫く剣を見つめていても、何故か死の実感は湧かなかった。 胸に痛みはない――それが原因かもしれない。 そして、自分の気持ちを裏付けるもう一つの理由 《やっぱりシグナム副隊長が人を殺すなんて出来ないよね》 そう考えて安心 ――六課で過ごしたみんなとの日々が走馬灯のように映し出され、 その辛くとも楽しかった思い出が自分の考えにまた保証を加える。 やはり自分が感じた死の懸念は間違い。 シグナム副隊長に殺されたかと思ったなんて話したら、また彼女に殴られてしまうかもしれない。 そんな未来を思い浮かべて、ほんの少しの微笑を漏らす。 そして振り向き一瞬でもシグナム副隊長を疑ったことを謝ろうとするが、何故か身体が動かない。 彼女に殴られるという恐怖により身体が竦んでしまったのだろうか。 こんなことを知られたら、スバルはおろかエリオやキャロにまで笑われてしまうかもしれない。 そんな未来はごめんごうむりたい。 だから身体が動けるようにと、気を引き締め、 更に深呼吸をして身体を落ち着けてみようとするが、何故か息を吸うことができない。 代わりに自分でも驚くくらいの血を口から吐き出される。 《あれ?何で?》 心に浮かぶ疑問。それに対しての答えを思い浮かべようとするが、 内臓が擦れるこそばゆい感触――剣が引き抜かれていく感覚がそれを邪魔をする。 《何なのよ、こんな時に!》 思わず悪態を吐く。 人が必死になって考えようとしている時に、横槍を入れてくるのはスバルに決まっている。 また彼女が暇を持て余して、私のところにやってきたんだろう。 全く傍迷惑な子だ。 いい加減きつく言ってやらなければいけないかもしれない。 そう思いはするが、目に映るのはスバルではなく、近づいてくる地面の姿。 訳が分からない。取り合えず、受け身を取ろうと手を伸ばそうとするが、その暇もなく顔から着地。 痛い、と心の中で叫ぼうとするが、痛みなどなかった。 何なのだろう。状況に理解が及びつかない。 ひょっとしたら、夢を見ているのかもしれない。 この所、訓練づけだったし、疲れがたまっていたのだろう。そのせいかもしれない。 そういえばスバルにも早朝に、深夜にと、訓練をつき合わせてしまった。彼女もきっと疲れていることだろう。 今度の休みの日に、訓練のお礼として、いつものお店でアイスクリームでも奢ってやるとするか。 そうすればきっとスバルのことだ。喜んでくれるに違いない。 それにこんなに訓練ばっかしていたら、またなのはさんに怒られてしまう。 あの時は怖かったなぁ。まあ、でも自分が悪かったのだし、仕方ないか。 だけど、あれがきっかけでなのはさんともっと深く知リあえて仲良くなった。 情けなくはあるけれど、私の大切な掛け替えのない思い出……。 でも、何か変だなぁ。なのはさんに怒られたのは無茶な訓練して、模擬戦をやった後で、今じゃない。 あれ…………?今っていつだ? なのはさんに怒られて…………そう、ゆりかごでJS事件の決着がついて、それから六課が解散して……、 確か……フェイトさんの……補佐として働いていたはず。 その後は……八神特別捜査官に……呼び出されて、久しぶりに……えーと、六課の終結と喜んで…………それから……なんだっけ? ……ダメだ……。今は眠い。考えがうまく纏まらない……。 今日はゆっくり寝て、また明日考えることにしよう…………。 時間はまだたくさんある…………………………………………………………………………………………………………。 【ティアナ・ランスター@リリカル遊戯王GX 死亡】 ■ 現れたのは同じ機動六課メンバー/ティアナ・ランスター。 同じ管理局員と思った以上に早く会えるというのは好都合だが、状況が芳しくない。 恐らくシグナムと対峙している自分を敵と誤認。 また入局して浅い自分よりかはシグナムの方が信頼がある――それは自明。 ――故に誤解による戦闘を避けるために、ARMSを解除し、彼女に伝える。 「俺は時空管理局機動六課所属、アレックスだ。このゲームには乗っていない」 だがこの言葉を受けて、彼女の顔は怒りに染まる。 「ふざけんじゃないわよっ!!あんたなんかにっ……!」 言葉の中断――彼女の胸に刺さるシグナムのバスターソード それと共にもたらされる結論――ランスター二等陸士の死 「すまない……主のためだ」 微かに届けられるシグナムの言葉を思考。 今までの彼女の言動を思い返し、主と呼称していた人物を思い出す。 ――そして導き出す答え。 「……八神はやてのためか?」 この返答も沈黙。 だが、険しさを増す彼女の瞳は紛れもない肯定を示す。 動機が分かれば説得の道筋は立てやすい。彼女の行動を改めることが出来るかもしれない。 しかし、同時に疑問/自分にそれが可能か? 八神はやてとの付き合いの浅い自分に彼女を語る資格はない。 それにシグナムはもう仲間であり、部下であったランスター二等陸士を殺した。 後戻りは出来ないだろう。 ――故に説得ではなく、自分の認める強者としての会話を続ける。 「……何故殺した?」 幾重にも意味を込めた質問。 「……愚問だな。元より主以外は全て殺すつもりでいた。それが守護騎士である私の役目だ。 私の躊躇いや逡巡によって、主に危険が及ぶことは避けねばならない。 相手がお前のようなものやこの女のような管理局員であるというのならば、事は尚更だ。 主の命に比べれば、私の騎士としての誇りなど、何と軽いことか……」 饒舌とも言える回答/ランスター二等陸士の支給品を確認するための時間稼ぎ/阻止は可能 ――だが、彼女の言葉/思いの方が気になる。 言い終えると同時にシグナムはティアナが持っていたバッグから新たな刀を取り出す。 そしてその剣先をこちらに向け、不敵に笑う。 「レヴァンティンとはいかなかったが、これならお前にも遅れをとることはないだろう」 バスターソードと同じく規格外の武器。 しかし、それよりは彼女に馴染む剣/長大な日本刀 状況は最悪/仲間の死/仲間との戦闘 だが、目の前の彼女との闘いに喜ぶ自分がいる。 それを意識しながら再びARMS/マッドハッターを起動。 「いいだろう。俺もお前とは決着をつけたいと思っていたところだ」 【1日目 深夜】 【現在地 F-3】 【アレックス@ARMSクロス『シルバー』】 【状態】健康 、疲労(小) 【装備】なし 【道具】支給品一式、はやての車@魔法少女リリカルなのはStrikerS、サバイブ"烈火"のカード@仮面ライダーリリカル龍騎、 ラウズカード(ハートのJ、Q、K)@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【思考】 基本 この殺し合いを管理局の勝利という形で終わらせる 1.シグナムの排除 2.1の後、機動六課隊舎へ向かう 3.六課メンバーとの合流 4.キース・レッドの首輪の破壊 【備考】 ※シグナムに多少の違和感を覚えています ※キース・レッド、管理局員以外の生死には余り興味がありません 【シグナム@魔法少女リリカルなのはA s】 【状態】疲労(小)、胸に裂傷(我慢できる痛みです) 【装備】正宗@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使 【道具】支給品一式×2、バスターソード@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、ランダム支給品0~3個 【思考】 基本 はやてを優勝させるため、全ての敵を排除する 1.アレックスの排除 2.はやてとの合流 3.ヴォルケンリッターの仲間達との合流 【備考】 ※アレックスとティアナとのやり取りに多少の違和感を覚えていますが、さして重大なこととは思っていません 【支給品情報】 ※アンカーガン@魔法少女リリカルなのはStrikerSはF-3にあるティアナの死体が手にしています 柊つかさは殺し合いの夢を見るか? 本編時間順 SWORD DANCER meet TYPOON 柊つかさは殺し合いの夢を見るか? 本編投下順 アイズ GAME START! アレックス - Wolkenritter シグナム - GAME START! ティアナ・ランスター GAME OVER!
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「お前だけが消えろ……」 そのロボットは無慈悲にそう告げて、プレシアを殴り、アリシアの亡骸を奪った。 結果、プレシアだけが消えていった。 それからしばらくして……。 「なのはー!!!」 翡翠屋の店主、高町士郎の手に握られていた手紙にはこう書かれていた。 一身上の都合により七つの海を旅してきます。探さないでください。 なのは 第一幕「Twinkle Talk」 海鳴市の沖合い約10km。 ぺペロンチーノ号の甲板で、高町なのはと、プレシアを殴ったロボット、ハカイダーが潮風を浴びていた。 「……」 「ハカイダーさんは何故この船に?」 「……スコットに、一緒に来ないか? と誘われてな。断る理由が無かったから同行することにした」 「そうなんだ……」 「……」 会話が途切れるのと同時に、ハカイダーを呼ぶ声が響いた。 「ハカイダー、ちょっと来てくれ」 この声に無言で反応したハカイダーはそのままエンジンルームに行った。 「アルフォンゾ、どうした」 「お前さんの銃、直ったぜ」 「助かる……」 アルから受け取ったハカイダーショットのグリップを握り締め、ハカイダーは礼を言った。 「試し撃ちは……駄目か?」 「海賊に襲われた時にしてくれ」 「わかった。ところで、例のアレは?」 「エンジンの複製がやっと終わったところだ。後は残りの部分を造って組み上げるだけだ」 「そうか」 甲板では、ナナミとなのはが談笑していた。 「なのは、ハカイダーっていつもああなの?」 「初めて会った頃よりは口数は多くなった方だよ」 「……あれで?」 「うん」 「ナナミ、なのは、どうした?」 甲板に戻ってきたハカイダーが、ナナミとなのはに声をかけた 「ハカイダーさん」 「今ちょうどね……」 自分の口数の事でナナミとなのはが話していたことを聞かされ、ハカイダーは少し感慨深げだった。 「そうだな……。あの頃と比べると俺は、お喋りになった方だな」 どんどん見えなくなっていく海鳴市を、ハカイダーはずっと見続けていた。 夕飯時、キッチン。 「……と、こんな感じだ」 アルがなのはとハカイダーに料理を教えながら夕飯を作っていた。 「そうなんだ……」 「ふむふむ」 なのはだけでなくハカイダーもエプロンを着けていたが、不気味なまでに似合わなかった。 「そういえば何でハカイダーさんも料理を習っているの?」 「アルフォンゾとお前が病気なり怪我なりで、料理を作れなくなったときに備えるためだ」 ハカイダーのその一言に、アルは思わず感心してしまった 「しっかり考えてるんだな……」 十数分後、今日の夕飯が出来上がり、食卓に上った。 その中には、なのはとハカイダーが作ったナポリタンがあった。 「これがナポリタンか。洋子から聞いたことはあったんだが」 「口に合う合わないは別にして、まずは食べてみてくれ」 ハカイダーに促されたスコットは、小皿に分けたナポリタンを口にした。 「旨いな」 その一言を合図に、ナナミとアルも食べ始めた。 数時間後、無事に領海、更に排他的経済水域も抜け、ペペロンチーノ号は台湾目指して外海を突き進んでいた。 操舵席にいるスコットが不意にハカイダーに話しかけてきた。 「ハカイダー、少し聞いていいか?」 「何だ?」 「もといた世界に帰りたいと思ったことは、無いのか?」 「毛頭無い。当て所なくさすらい続ける以外にやる事が無いあの世界より、この世界の方が好きだからな」 「そうか」 「一体どうした? 唐突に」 「……何となくさ」 二人の会話をよそに、夜の海を進むペペロンチーノ号目掛けて、一隻の奇妙な船が100ノット以上のスピードで海上を走っていた。 それに気付いたハカイダーが、大声を上げた。 「スコット、妙に細長い船がこっちに向かって来るぞ!!」 ハカイダーの声に反応したスコットは、ハカイダーが指差した先を遠目で凝視した。 「カスピ海の怪物だ!」 スコットが叫ぶのと同時に、色とりどりの光線がペペロンチーノ号目掛けて飛んできた。 「攻撃魔法だ!!」 ハカイダーの叫び声と、光線が海面に着弾する轟音で目を覚ましたナナミ、なのは、アルが慌てて甲板に出てきた。 「スコット、カスピ海の怪物とは何だ!?」 「正式名称は「エクラノプラン」。ロシア語で「ホバークラフト」という意味で、冷戦時に旧ソ連が開発した特殊な船舶だ。ちなみに、「カスピ海の怪物」という名前は祖国の諜報員が付けたあだ名だ」 攻撃魔法が飛び交う中、スコットがエクラノプランの説明をした。 「なるほどな」 「二人とも何のんきに話してんだ!!」 アルの怒声が聞こえ、我に帰ったスコットとハカイダーは、エクラノプランの方を向き直した。 「あのエクラノクラフト、何が目的なんだ?」 「恐らく、俺となのはを狙っているのだろう」 レイジングハートを起動させようとしたなのはに「俺に任せろ」と言って、ハカイダーはいつの間にか左手に持ったハカイダーショットをエクラノプランに向けた。 「……航海初日からこれとは、胸糞悪いな」 その一言と共にハカイダーショットから発射された、超高周波炸裂弾は白く光っていた。 弾が直撃したエクラノプランは一撃で破壊され、直後に(核爆発や火山の噴火よろしく)キノコ雲が発生した。 ペペロンチーノ号から数キロはなれた海域。 エクラノプランの破壊と、キノコ雲の発生の一部始終を見ていた高速艇がいた。 「テスタロッサ博士の仮説以上の威力だな……」 一人の大柄な男が呟いた。 その男は、右手が鋼鉄製の義手だった。 「自分がデバイスになっていた事を忘れていた……」 キノコ雲を見ながら、ハカイダーは呟いた。 「スコット、どうする?」 「全速力でこの海域から離れる。アル、エンジンを頼む」 「オーキードーキー!」 ティコと並んで、全速力で進むペペロンチーノ号の甲板で呆然と星を見ていたハカイダーに、ナナミは声をかけた。 「どうしたの?」 「……星のささやきが聞こえた、気がしたんだ」 台湾は、まだ遠い。 返り血ですら滑り落ちる黒いボディ。 返り血をも弾く白いドレス。 黒の戦士に幼き魔王と人の言う。 ミッドチルダの裏社会じゃ賞金首。 信念有用、情無用のトラブルメーカーズ。 賞金総額は台湾元で30億以上。 次回「Chase The Wind」 台湾は中国より中華料理が美味いらしい。 目次へ 次へ
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ストライカーの特性 ステ振り スキル1次職 2次職 3次職 れべるうpに最適な狩場一次転職してから二次転職まで 二次転職してから三次転職まで 三次転職してから四次転職するまで カンストしたら ストライカーの特性 ジャスティスで化けたらしい現行シグナス最強の拳 ハゲは男の勲章 ステ振り メインステはSTR つまり可能な限りこれに振るのが火力向上に繋がる でもどうせ120でおさらばなキャラだし適当に振ってもいいんじゃないの 一応理想はSTR極です スキル 1次職 捨てスキルは2次ですぐお役御免になるムーンサルト ムーンサルト1→ダッシュ、クイックモーションMAX→残り適当にMAX→ムーンサルトに残りを振る 2次職 不足は19 削り候補はエネルギーバスター(3次で上位互換有り)かトルネードアッパー アッパー1→マスタリー5→ブースター好みで6~12位→チャージ・バスターに1→残りMAX 極STR振りでサブステ確保が辛い場合フィジカルトレーニングを適度に先上げするのも良い 3次職 ブラスト1振ればなんとかなると思うけど ちょっと後で書きます れべるうpに最適な狩場 一次転職してから二次転職まで 街灯倒してろ 二次転職してから三次転職まで ペペキング 三次転職してから四次転職するまで ロミジュリでブラストどーんサメどーん カンストしたら よくここまで育てたな。お前にバイパーを育てる権利をやろう! さあ君もシグナスアカイラムに参加しよう!
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クロス作品紹介 魔法少女リカルなのはA s 高町なのは(A s)、フェイト・T・ハラオウン(A s)、シグナム、ヴィータ、以上4名が該当。 原作シリーズの第2期。魔力を強めるカートリッジシステム、格闘戦に優れたベルカ式や騎士など、第1期に比べてバトルアクションとしてのジャンルが強まった。 八神はやて、ヴィータ、シグナム、シャマル、ザフィーラはなのは達と戦う側として登場した。 魔法少女リリカルなのはStrikerS 高町なのは(StS)、シャマル、ザフィーラ、スバル・ナカジマ、キャロ・ル・ルシエ、ルーテシア・アルピーノ、ヴィヴィオ、クアットロ、チンク、ディエチ、以上10名が該当。 原作シリーズの第3期。第2期の10年後を舞台として今までのキャラは大人になり、新キャラ達を教え導く立場になった。 魔法ではなく、科学技術の産物として「戦闘機人」という新しい能力者が登場した。戦闘機人とは、いわゆる戦闘用サイボーグと思えば良い。 魔法少女リリカルなのは 闇の王女 ゼスト・グランガイツ、以上1名が該当。 アニメ作品「機動戦艦ナデシコ」とのクロス作品。 掲載場所…検索ヒント「理想郷 SS ジャイアント昴」 ゲッターロボ昴 武蔵坊弁慶、以上1名が該当。 アニメ作品「新ゲッターロボ」とのクロス作品。 仮面ライダーリリカル龍騎 八神はやて(A s)、浅倉威、神崎優衣、以上3名が該当。 特撮番組「仮面ライダー龍騎」とのクロス作品。 NANOSING アーカード、アレクサンド・アンデルセン、インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング、シェルビー・M・ペンウッド、以上4名が該当。 漫画作品「HELLSING」とのクロス作品。 リリカル遊戯王GX ティアナ・ランスター、遊城十代、早乙女レイ、万丈目準、天上院明日香、以上5名が該当。 アニメ作品「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」とのクロス作品。 魔法少女リリカルなのはFINAL WARS 八神はやて(StS)、以上1名が該当。 特撮作品「ゴジラFINAL WARS」とのクロス作品。 なのは×終わクロ 新庄・運切、ブレンヒルト・シルト、以上2名が該当。 小説作品「終わりのクロニクル」とのクロス作品。 小話メドレー エネル、以上1名が該当。 短編集形式のクロス作品で、特定のクロス元を持たない作品。 魔法妖怪リリカル殺生丸 ギンガ・ナカジマ、殺生丸、以上2名が該当。 漫画作品「犬夜叉」とのクロス作品。 掲載場所:検索ヒント「らいおんはーと 反目のスバル」 コードギアス 反目のスバル ルルーシュ・ランペルージ、C.C.、カレン・シュタットフェルト、シャーリー・フェネット、以上4名が該当。 アニメ作品「コードギアス 反逆のルルーシュ」とのクロス作品。 掲載場所:検索ヒント「らいおんはーと 反目のスバル」 リリカルなのはStrikerS片翼の天使 セフィロス、アンジール・ヒューレー、以上2名が該当。 ゲーム作品「ファイナルファンタジーⅦ」とのクロス作品。前日談に当たるゲーム「クライシス・コア ファイナルファンタジーⅦ」のキャラクターも登場 掲載場所:検索ヒント「らいおんはーと 反目のスバル」 デジモン・ザ・リリカルS&F エリオ・モンディアル、アグモン、ギルモン、以上3名が該当。 アニメ作品「デジモンフロンティア」「デジモンセイバーズ」とのクロス作品。 リリカルTRIGUNA s クロノ・ハラオウン、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、ミリオンズ・ナイブズ、以上3名が該当。 漫画作品「トライガン」とのクロス作品。 ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは ヒビノ・ミライ、以上1名が該当。 特撮作品「ウルトラマンメビウス」とのクロス作品。 L change the world after story ユーノ・スクライア、L、以上2名が該当。 映画「L change the world」とのクロス作品。 仮面ライダーカブト フェイト・T・ハラオウン(StS)、矢車想、以上2名が該当。 特撮作品「仮面ライダーカブト」とのクロス作品。クロス元と同名である為、注意。 魔法少女リリカルなのは マスカレード 天道総司、相川始、キング、金居、以上4名が該当。 特撮作品「仮面ライダーカブト」をはじめとする平成仮面ライダーシリーズとのクロス作品。 本ロワに登場しているキャラは全て改稿前からの参戦である為、改稿後のマスカレードとは設定の一部が食い違っている為、注意。 なの☆すた 泉こなた、柊かがみ、柊つかさ、以上3名が該当。 漫画作品「らき☆すた」とのクロス作品。 ARMSクロス『シルバー』 アレックス、キース・レッド、以上2名が該当。 漫画作品「ARMS」とのクロス作品。
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此処には、神様がいるの──。 自ら命を絶った少女は、フェイトにそう告げた。悪戯だと割り切り、フェイトは携帯 電話を放り投げた。制服のままで蒲団の中に潜り込み、外界から自己の総てを遮断する。 俄かに身体が痙攣を帯びてきた。 再び携帯電話が無機質な着信音を鳴らす。フェイトは細く悲鳴を漏らして一瞬身体を 硬直させ、今以上に自閉するように強く瞼を閉じた。 着信音は、まるでフェイトを夢想の彼方へと引き摺り込むように鳴り続けていた。 / 嘔吐を催しそうな程の照明の下で、少女は前方の相手を突き飛ばした。胸を覆っただ けの肌着にジャケットを羽織り、下はミニスカートという開放的な身形のその少女は、 左側の一房の挑発が特徴的だった。 「シグナム、出たぞ!」 クラブ・サイベリアで張り込み捜査をしていたヴォルケンリッターは、目標の登場に 呼応して体勢を整える。屋外では保険としてシャマルが結界魔法を展開し、ザフィーラ が傍に就いている。 シグナムは紺色の背広姿に加えて後ろ髪を括り上げた何時もの風貌で、一悶着を終わ らせた少女に向かって歩き出した。 サイベリアは束の間動揺の波を発生させたが、しかしまた直ぐに扇情的な音楽を背景 に踊りや酒にと盛り上がっていった。 「岩倉玲音だな?」 背の低い少女は、名を尋ねてきた長身の女性に警戒の視線を向けた。照明を除いても 刺激的な色彩の髪を持った、日本人離れした顔立ちの女だった。傍には赤い髪の少女が 立っている。 「だったら何だよ」 「我々と同行を願いたい。君を、神を騙る男から保護したいんだ」 シグナムは努めて相手の感情を荒立たせないよう冷静な口調を心掛けたが、それは益 体も無かった。 「何だそりゃ。宗教の勧誘なら他に当たれッてんだ」 「待ってくれよ。少しだけ話を聴いてくれてもいいだろ」 ヴィータが控え目な声色で少女の歩みを制止する。先日の不可解な現象を知り、彼女 は心成しか消極的になっていた。 「……るせぇんだよ! 此処は御前みてぇな糞餓鬼の来る所じゃねぇんだよ!」 啖呵を切られ、反抗しようと歯を剥き出したヴィータをシグナムが宥める。 「近来、何かと取り沙汰されているワイヤードというインターネットサービスが、この 現実世界に反映されているという事例を、耳にした事は無いか?」 「はン?」 威圧的な眼をヴィータからシグナムへ移し、少女は冷笑して取り合わなかった。 彼女がこの享楽の舞台から立ち去るのを、シグナムは無言のままに見過ごした。 「シグナム、いいのか?」ザフィーラが確認する。 「あぁ……まだ時は満ちていない、といったところか」 二人の精神干渉に、シャマルの切羽詰った声が乱入する。シグナムとヴィータの顔が 厳しいものへと変容した。 「ナイツ! 此方に気付かれたわ!」 屋内を担当していた二人も外へと駆け上がり、既に戦闘が開始されている繁華街上空 へと飛翔した。その中途で騎士甲冑を纏い、シャマルを包囲する数人の不審者へと攻撃 を仕掛けた。 シグナムの急襲に遅れを取り、ゴーグルを装着して素顔を隠している中の一人が、刀 身の腹を痛打されて悶絶する。 ヴィータも他方の敵へと肉迫し、致命傷を避けた一撃を繰り出した。元々一般人だっ たと思われるゴーグルの部隊は、ヴォルケンリッターの反撃を受けて次々に倒されていく。 ザフィーラの爪を背中に貰い、最後の一人が行動不能に陥った。 四人の驚愕を誘ったのは、迎撃した敵の悉くがその瞬間に夢のように姿を霧散させた事だった。 「あの人達……」シャマルは困惑極まる声を零した。 「デウスの手先だな。恐らく、或るオンラインゲームからリアルワールドへと逆にメタ ファライズさせたのだろう」 シグナムはビルの上に降り立ち、夜風に甲冑の衣を棚引かせた。後ろでヴィータが不毛 な争いに倦んだように、グラーフアイゼンを肩に担ぐ。 「こっちが幾ら倒しても、向こうにとっちゃゲームでゲームオーバーしただけのようなもんか」 「このままでは鼬ごっこだ。若し、あの岩倉玲音が彼等の言うとおりの存在ならば、その 彼女の別人格がリアルワールドへ出現しているという状況は……」 ザフィーラは獣の眼を鋭く細める。 「現実と架空が融合されてしまう……極めて高精度な電脳ネットワークの膨張と浸蝕によってな」 「そんなの絶対に認めねぇ! ふざけんなよ、デウスって野郎! あたし達の前に引っ張 り出して袋叩きにしてやる!」 ヴィータは一連の事件の核心に潜む存在に、怒声で苛立ちをぶつける。 「リンディ提督にも報告しておいた方がいいのかもしれないな。最早、我々だけでは手に負 えん……一刻も早くデウスの下らん妄執を打ち砕かねば」 シグナムは数年前の事件の際に多大な恩義を賜った人物を想起し、この海鳴市で着実に胎動 している悪意に対して毅然と剣の柄を握り締めた。 / 「じゃあさ、すずかとアリサも今晩一緒に行こうよ」 瑞城ありすが、面倒見のいい顔で会話を取り締まっていく。 「でも、クラブなんてちょっと怖いです……」 「何言ってんのよ。あたし達だって中学生なんだから、そういう所に行くくらい普通じゃない」 言いながらも、アリサも内心の緊張は隠せないでいた。級友の昨晩の体験談を聞き、今日 もそのクラブで夜の会合を開こうと提案したのは彼女でもあった。 「玲音も来るんだよね」麗華が切れ長の眼を大人しい親友に向ける。 「……ん、と」 岩倉玲音は生来の内向的な気質を露に、返答から逃げるように横にいたフェイトへと 視線を向けた。 「大丈夫だってー。大した事無いからさぁ」樹莉が楽天的に玲音を押す。 「フェイトも、今日は付き合ってもらうからねっ」 アリサが金髪を揺らし、同じく口篭っているフェイトへと詰め寄る。 「う、うん……岩倉さんが行くなら、私も……」 結局、フェイトはそんな受動的な返事しか出来なかった。今度はフェイトが玲音を見 る。玲音はフェイトの澄んだ瞳を一瞥し、気拙そうに顔を伏せた。 夕刻の予定が決まり、放課後となった。フェイトは溜め息を吐きながら帰る仕度をし、 習い事を控えている二人の級友を教室で見送った。ありす達の三人娘も先立って退室し ていた。 フェイトは黒板前の席で教科書を仕舞っている玲音を見た。フェイトの傍の席は、も う何日も欠席が続いている。 フェイトが人気の無い廊下をとぼとぼと歩いていると、身の回りの空気が変質した風 な悪寒に襲われた。咄嗟に常備しているバルディッシュ・アサルトに手を伸ばし、忙し なく辺りを見回す。 前方から少女の押し殺した悲鳴が聞こえた。即座にフェイトは疾駆し、声のある方へ と急行する。 「岩倉さん!」 廊下の真ん中で、玲音が不気味な影の大群に取り囲まれていた。フェイトは狭い廊下 でデバイスを起動させるわけにもいかず、詠唱の魔法で対処を試みる為に身構える。し かし、意外にも謎めいた影は二人の体躯を無害に通過していくだけだった。 茫然自失としているフェイトに、立ち直った玲音ののっぺりとした瞳が向けられた。 玲音自身も自分の行動に当惑していた。学校の知り合いを家に招くなど、史上空前の 出来事だった。 「あんまり、学校でも御話したこと無かったね……」 「……うん」 これといった会話は起きなかった。ただ、フェイトは岩倉家の配達の大きな荷物を見 て鼻白んだ事が、二人の間の事件といえば事件だった。 「ハラオウンさんは……何時も、高町さんや、八神さんや、月村さんやバニングスさん と一緒だから」 玲音は、何故フェイトを家に招いたのか全く自己解明出来なかった。日が暮れ、フェ イトは静々と帰っていった。 玲音は夕食を済ませ、父親が早速新調してくれた最新NAVIを触っていると、携帯電話 が鳴った。ありすからだった。渋々、玲音は深夜の街へと出発していった。 / 「こんな所で張り込み?」フェイトが訊ね、 「あぁ。奇遇だなハラオウン」シグナムが返答する。 フェイトはアリサから強引にサイベリアへと連行され、業務中のヴォルケンリッター との対面を果たしていた。彼女の知人各位は、思わぬフェイトの交友関係に興味津々な 様子を見せている。特に背伸びしたい年頃の皆は、長身美麗なシグナムへと憧れの視線 を注いでいた。 今日もシグナムとヴィータが、本来在るべきではない存在である少女の身柄を求め、 彼女が頻出するというこのサイベリアで張り込んでいる最中だった。 「今日も来るかな、あいつ……って!」 玲音が面々の前に到着した。昨日と同じく、先走ろうとするヴィータをシグナムが制止する。 「来た来た、玲音」 ありすが彼女を近くまで呼び寄せる。再び対面した玲音は、しかし二人の騎士に怪訝 を与える。 (違う方だよな?)(あぁ。あの別人格ではない。此れは何かの偶然か?) 「どうしたの、二人とも」 フェイトが内輪で物議を醸し始めた前衛の騎士に問うが、相手側は適当に取り繕って きた。フェイトが仲立ちし、玲音にも戦友を紹介する。玲音はシグナムとヴィータに人 見知りの激しい一瞥を向けつつ、ちょこんと帽子の被った頭を下げた。 そうこうしていると、踊り場の中央付近で物々しい騒音が立った。調子を合わせたよ うに、本社に待機していたシャマルとザフィーラがサイベリアの仲間に精神干渉を届ける。 「どうした!」 「済まん、数体のプシューケー・プロセッサーの強奪を赦してしまった! 岩倉玲音と の接触を中断し、即時に此方へ帰還してくれ!」 サイベリアでは、一人の若者が高性能とおぼしき照準用光線を持った銃器を構え、常 軌を逸した振る舞いを行っていた。フェイトの連れ合いは、場の混乱に流されて外へと 退避を始めている。 ヴィータは、視界の隅で見た狂乱の若者から、有る筈の無い魔力を感知した。 立ち止まった赤い少女の脳内に、この一連の事件に関連しているかもしれない或る憶 測が浮かぶ。 一般人の頭脳の演算能力を画期的に飛躍させ、その暴走した精神を魔力へと強制変換 させる魔法専門のサプリメント── 「アクセ、ラ……?」 しかし、それは近年に時空管理局の採決で、社会への流通と使用が禁じられた筈の違 法物品であった。 「何をしている、ヴィータ! 至急本社へ戻り、二人と合流するぞ!」 シグナムに怒鳴られ、ヴィータは余計な疑念を振り切ってサイベリアを飛び出す。 フェイトは玲音の傍で間誤付いていた。 「ワイヤードは決してリアルワールドに干渉してはならない! 一体アンタは何なんだよォ!」 若者が嗚咽混じりに狂い叫ぶ。ありすが硬直している玲音へと駆け付けた。避難を促 すありすの余所で、玲音が一歩一歩若者へと歩み出て行く。 「岩倉さん……!」フェイトの制止も効果は成さなかった。 玲音の目付きが一変する。照準用の光線が、毅然となった玲音の頬を穿つ。 「何処にいたって……」 場に永遠のような一瞬の漂白が浸透した。それは玲音の声を鮮明に響かせる魔力を有していた。 「──人は、繋がっているのよ!」 若者の身体から、血の飛沫が飛散した。 <続> 戻る 目次へ 次へ
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PVは以前から存在していたが、7月1日に特別先行家族体験会のプレイの様子のPVが追加され計八個になり、以下の企画が発表された。 映像の再生回数に応じて公開する 「衝撃の一枚!これからのイナズマイレブンGO」はこれだ!! 第一弾 化身って「剣聖ランスロット」「奏者マエストロ」以外にいるの? 合計再生回数100,000回(後に40,000回)以上で公開! 第二弾 「鬼道」「風丸」「吹雪」「壁山」「不動」、そして「冬花」はいま!? 合計再生回数200,000回(後に70,000回)以上で公開! 第三弾 「イナズマイレブンGO」で登場する皇帝ペンギンシリーズの必殺技は? 合計再生回数?????回(後に90,000回)以上で公開! 第四弾 木枯らし荘の住人に、かつてイナズマジャパンだったあの人が! 合計再生回数?????回(後に140,000回)以上で公開! 第五弾 雷門中サッカー部監督、円堂守の奥さんがついに判明! 合計再生回数?????回(後に250,000回)以上で公開! もしかしたらストライカーズ発売まで一枚も公開されないかも・・と危惧されたが、7/3日現在順調なペースであり、ファンを安諸させた。 しかし、PVはyoutubeに投稿されており、かつyoutubeには、 残念なことに、ユーザーの中には再生回数を人為的に吊り上げようとする人たちがいます。 他のユーザーを動員したり、スパムボットやマルウェアを使ったりするケースや、動画の投稿者が行うケースもあります。 YouTube では、再生回数を人為的に吊り上げようとする行為を検出した場合、 回数のカウントを遅くしたり、まれに停止したりして、無効な再生がカウントされないようにしています。 YouTube システムでは、通常このように対処しています。 と言う注意書きがあり、これ以降伸び悩む可能性も充分にありうる。 まったくあの人は何を考えているのか。 色々と心配されていた頃、早くも条件回数が緩和された。判明分では半分以下になった。予想外の柔軟な対応に驚いた者も少なくないだろう。見せる気があるのかないのかは関係者のみぞ知る。 今後の動向に期待である。 【リンク】 http //www.inazuma.jp/strikers/movie02/
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「ここの連中は結構良いもん喰ってるんだな~。」 「そこのお兄さん! おかわり!」 「あーもー! どれだけ食うんだよこいつ等~!」 身体のデカイ二人は食事もその分沢山食う。それだけに普通の局員の何人分にも 及ぶ大量のメシを要求されてしまい、二人の監視を命じられた局員も困り果てていた。 「えー!? あの二人ここまで連れて来てるんですかー!?」 クロノの口からマンモスマンとオメガマンを管理局の留置所で拘束している事を 聞かされたなのはは思わず絶叫してしまった。 「もっと警戒を厳重にして! じゃないと牢屋を破って…私殺されちゃうよ!」 「なのは落ち着いてー!」 マンモスマンとオメガマンの目的がなのはにハンカチを届ける事である事を知らず、 逆になのはの命を狙う殺し屋の類と勘違いしているなのはは狼狽し、フェイトが 必死に止めようとする程だった。 「安心しろ。とりあえず取り調べの時にも特に何も無かったし。今だって何もしてない。」 クロノは腕組みしながらなのはの狼狽ぶりに呆れていた。 「だが…はっきり言って何とかしなければならないのは事実だ…。このままでは 奴等二人の為に管理局が貯蔵してる食料が全部食い尽くされてしまう…。」 と、マンモスマンとオメガマンの処分に悩んでいた時だった。突然爆発音が響き渡ったのである。 「何だ!? おい! 何が起こった!?」 「大変だー! 白昼堂々テロリストが真正面から攻撃を仕掛けて来たー!」 「な…なんだってぇぇぇぇぇぇ!?」 あまりにも唐突過ぎる展開に皆叫ぶ他は無かった。 「管理局が補完してあるロストロギアを全て奪え! 邪魔する奴は殺せ!」 どう見てもテロリストにしか見えません的な大勢の武装勢力が管理局の入り口前まで 侵入しており、その上どいつもこいつもが魔導師で、管理局側の魔導師達と 壮絶な魔砲戦闘が繰り広げられていた。しかしそれだけでは無かった。 なのはとフェイトが増援として駆け付けて来た時、最前線で戦っていた 名も無き武装局員達の一群が謎の攻撃による大爆発に巻き込まれ、消し飛んでしまったのである。 「何!? 今の…魔力反応が一切無かった…。」 「火薬の匂い…まさか…質量兵器!?」 ミッドチルダにおいては炸薬を利用した実弾兵器などを初めとする質量兵器の使用が禁止されている。 だからこそそれらに代わって魔力砲による兵器が発達していたのだが…その世界の空気を読まずに 質量兵器を使う者は一体何者だと言うのだろうか… 「あ! あれ!」 なのはは敵テロリストの後方にいたどう見ても他の者とは雰囲気の違う者がいる者に気付いた。 顔に鍵十字(?)の様な模様が描かれ、背中に巨大な大砲を背負った大男である。 「まさかアレが質量兵器を使用した張本人!?」 するとまた飛んで来た。なのはとフェイトはとっさに横に飛んで何とか回避出来ていたが、 またも名も無き隊員達が爆発に巻き込まれ、犠牲となってしまった。 「うそ…彼等だって防御魔法をちゃんと張っていたのに…何て威力…。」 「質量兵器なのは分かるけど…あれは普通じゃない!」 攻撃方法そのものはなのはの出身地である地球における大砲に酷似している。 しかし、その破壊力は明らかに普通では無かった。 「来るなら来て見ろ! どいつもコイツも地獄の砲弾の餌食にしてやるぞ! 傭兵超人レオパルドン行きます!! グオゴゴゴ!!」 大砲を背負った大男はなのは達管理局のメンバー達をあざ笑うかのように 後方で大砲を次々にぶっ放していた。 既にテロリスト達は管理局の室内にまで侵入し、壮絶な室内戦が展開されていた。 当然そうなればマンモスマンとオメガマンが拘束されていた留置所にまで騒ぎの音が聞こえて来る。 「おいおい何か騒がしいな。」 「まるで戦争でもおっ始まったみたいなだ。」 「ちょっと見に行ってみるか?」 「うむ。」 流石に今度ばかりは気になったのか、二人は外に出て確認してみる事にした。 そしてマンモスマンが超人強度7800万パワーの怪力で留置所の入り口を軽くこじ開け、外に出た。 「ゲェェェェェェ!! 何か彼方此方に死体が転がってるぅぅぅ!!」 「まったく穏やかじゃないな…こんなに無駄に死者を出すなんて…意外に野蛮な連中なんだな…。」 既に留置所のすぐ外まで戦場が広がっており、彼方此方に死体の転がる惨状に 二人は呆れるしか無かった。超人界でも戦争は存在するが、人間達のする戦争の様に 軍団と軍団同士がぶつかり合う様な事は殆ど無い。大半は少数の代表者同士が 大勢の観客の見守る中リング上で対決し、その優劣によって勝敗を決めるやり方を取っている。 実際正義超人が悪魔超人や完璧超人と対決するする時もその方法が取られていたし、 マンモスマンとオメガマンの二人もキン肉マンスーパーフェニックスをキン肉星の王位に 付かせる為の代表者として戦った事がある。だからこそ無駄に死者を出す様な 人間流の戦争理論に呆れてしまうのは仕方の無い事だった。 と、その時だった。室内に侵入していたテロリストがマンモスマンとオメガマンの 二人にも攻撃を仕掛けて来たのである。 「死ねぇ!」 「ゲェェェェ!! 何か俺達にも攻撃を仕掛けて来た!」 テロリストは手に持っていたミッド式デバイスから魔砲を発射しようとした。 しかし…それより先にオメガマンが犯罪超人をハントする際に使用する 対超人ライフルがテロリストを撃ち抜いていた。 「これを使うのも久し振りだな…。」 「お~! 見事にして正確無比な早撃ち!」 思わずマンモスマンも拍手を送っていたが、いつまでもそうしているワケにも行かなかった。 「さて、早い所ここから出た方が良さそうだな。」 「そうだな。」 とにかく死体の倒れていない場所の床を探しながら出口を目指して移動を開始した。 「大変! あの連中魔動兵器まで用意してる!」 「ええ!? ってああ!!」 ただでさえテロリストそのものや大砲を背負った謎の男との戦闘で忙しいと言うのに、 その上魔動兵器まで存在していたのである。地球の西洋の甲冑にも似た姿の魔動兵器が 謎の大砲男が作った騒ぎに乗じて次々に管理局内部へ侵入していた。 「ゲェェェェェェ!! また何か出てきたぁぁぁぁ!!」 出口を求めて管理局内を歩き回っていたマンモスマンとオメガマンの二人が 魔動兵器と遭遇するのはある意味必然だった。そして魔動兵器が攻撃を仕掛けるが、 それよりもマンモスマンの7800万パワーの怪力の方が遥かに上回っていた。 「こんなワケの分からん所でやられてたまるかよ! パオォォォォン!!」 マンモスマンは咆哮と共に魔動兵器達に体当たりを仕掛け、そのまま何体も まとめて押し出して行き、その後をオメガマンが走っていた。 「やはりパワーでマンモスマンに敵う奴はいないな。」 単純な超人強度ではオメガマンの方がマンモスマンより上であるが、 やはりパワーと言う点に関してはマンモスマンに敵う超人はいなかった。 前へ 目次へ 次へ
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どうも、夢見屋です。 今回駄文ながら完結いたしました 魔法少女リリカルなのは~夜天に舞う反逆者~ を最後までお読みくださってありがとうございます。 今回この作品のテーマは“自分の正義”です。 アンヘルが最後まで戦い続けた理由は“裏切られた正義”という気持ちでした。 今まで自分が守り続けてきた己の正義に裏切られてしまったアンヘルは、その無垢 な正義感の在り処を求めた挙句、人間たちへの復讐を決意します。 ヴィアは、その事実を受け止め、アンヘルの復讐とロッズの計画などを知りながらも 受け止め、世界を救う決意をしました。 だが世界から追放されている彼は「世界を救うために世界に反逆する」と決めました。 夜天の魔道書や守護騎士たちの過去などは全て作者オリジナルですので 気に入らない点があったらすみません。 次回作を書くつもりなので、期待しないで待っててください。 では、まだまだ色々と書いていくのでよろしく。
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ウイングロードで突っ走った先にあるのは、狙撃型オートスフィア。 遠くからさんざ撃たれまくったけれど、 ティアの幻術が道を拓いて、やっとあたしの射程内。 半年に一度のBランク昇格試験、ここで落とせば、また半年後。 あたしだけじゃない、ティアの夢が、こんなところでつまづくのなら。 足をくじいたティアを放って、あたしだけがゴールするくらいなら。 そんな未来は、握った拳でぶち砕く。 あの日、あの時、あの人が、あたしにそうしてくれたように。 そして、もう二度と、守れないことのないように。 神 聖 破 撃 ディバイン・バスター 魔力球、形成! 振り抜く右のリボルバーナックルで殴打、衝撃波、発生! 敵の攻撃全部はね飛ばし、無理矢理に隙をこじ開ける。 分厚い天井をぶち抜いて生きる道を創ってくれた、あの人の魔法。 間髪入れずにウイングロード、展開! ローラーブーツ、最大加速! 作った道は、あたし自身で駆け上って、極めるんだ! 右の振り抜きざま、左の素拳に込められた力は、 踏み出した足と同時に、真正面の『未来』にめり込む。 「 因 果 (いんが)!」 あの日の空に 見つけた憧れ あたしは あたしの なりたいあたしに なる ! 魔法少女リリカルなのはStrikerS 因果 第九話『二人(前編)』 「因果だってよ、覚悟くん」 「否、あれはディバインバスターなり」 照れなくてもいいのに。 少し嬉しそうで、少し哀しそうな顔をしている覚悟くん。 やっぱり、一度は生命を助けた子だから、 わざわざ戦いの場に戻ってくるのを止めたい本音もやっぱりあって。 でも、あのとき、あの子を助けた魔法の名前を受け継いで、 誰かを助ける仕事を望んでくれた…伝わる思いも、うれしくて。 また映像に目を移したら、ティアナちゃんを背負ったスバルちゃんが、 制限時間ぎりぎり、全速力でゴールに突っ込んでくるところ。 合格は間違いなしだった。 満点はあげられないけど、見せてくれた奮戦と結果は、納得するには充分すぎる。 そんな、感激の目で見ていたから、あやうく気づかないところだったけど。 「危険だ」 「…まずいね」 ヘリから一緒に飛び降りた。 このままじゃ二人とも、ゴールの先にある瓦礫に正面衝突だから。 最後の最後でこんなミス…危険行為の減点は大きいけれど、 今はそんなこと、気にしている場合じゃない。 覚悟くんは覚悟くんらしく、正面から二人を受け止めきるつもりみたい。 だったらわたしはその後ろからアクティブガードで、さらにやさしく受け止める。 誰も痛くないように…そう、思っていたんだけど。 スバルちゃんのとった行動は、覚悟くんの予想も、わたしの予想も超えていたんだ。 わたし達が受け止める体勢をとるよりも前に、スバルちゃんは、ティアナちゃんをお姫様抱っこして。 …自分で、仰向けに転んだんだ。 「んんうううぅぅぅぅぅぅッ!」 歯をくいしばりながら、背中でアスファルトを滑ってゴールを通過。 ティアナを上に載せたまま、平手を地面についてブレーキ。 わたしと覚悟くんよりはるかに前の地点で、速度を完璧に殺して止まった。 正直、言葉もなかったよ。 だって… 「…ゴール、だよ、ティア」 「っの馬鹿ぁ!」 バリアジャケットの上着は摩耗しきって消滅して、 肩とか背中とか、こすった後が一直線に赤く残ってる…地面に。 痛い、痛いよ。 これは痛い、見てるだけで。 「なんてこと、なんてことしてんのよ! あんた…あんた、正気ぃ?」 泣きそうな顔で胸ぐらを掴み上げてるティアナちゃんに、 スバルちゃんは少し笑って答えてた。 血みどろの背中に、全然気づいてないみたいに。 「その…ティアが、足、怪我してるから。 これで、公平かなって…」 「馬鹿言ってんじゃないわよ、なにが公平よぉ」 「それより、間に合ったよ、制限時間内に、ゴールできたみたい」 「んなの、どうでもいいわよっ、いくら、あんたが…」 覚悟くんが近づく。 わたしも近づく。 二人とも、それに気がついて、こっちを見た。 試験の結果は、今は二の次。 言ってあげなくちゃいけないことができたけど、 それは覚悟くんがやってくれそうだったんで、わたしは止まって待っている。 少しぼんやりした顔のスバルちゃんの正面に立つと、覚悟くんは。 「馬鹿者! 己が身を大事にせよ!」 開口一番で怒鳴りつけてくれた。 思わずきつく目を閉じるスバルちゃんに、かまわず続けていく。 「父と母より受け継ぎし玉身(からだ)。 昇格試験ごときで、粗末に扱ってはならぬ」 「…ごとき、じゃ、ないです」 だけど、ここでまた。 「ティアの夢が、かかっているんです。 ここでダメにしちゃったら、また半年先になるから。 半年も遅れちゃうから、だから…」 スバルちゃんは、明確に反論してきたんだ。 この試験には、これだけのケガをわざわざしてまで受かる意味があるって。 それは友達の夢を守ることなんだ、って。 そう聞かされた覚悟くんは、少し、むずかしい顔をしてから。 「その意気やよし」 「…わっ?」 「よくぞ、これほどになってまで守り抜いた」 脱いだ機動六課のジャケットを、スバルちゃんの背に放り投げるようにかけた。 当然だけど、覆い隠された傷口の部分から、すぐに血で汚れていく。 「だが、できるだけ自ら傷を負うことは避けよ。 おまえの友も喜ばぬ」 目配せされたティアナちゃんも、一瞬遅れて弱々しくうなずいた。 覚悟くんは満足するようにここから立ち去ろうとして、 その背中をまた呼び止められる。 「あ、あのっ、これ、上着」 「医務室で処置を受けて後、返しに来るがいい」 「でも、血で…」 「おれもあの時、きみの服をおれの血で汚したはず。 これにて公平!」 「…………」 あとは覚悟くん、振り返りもしなかった。 これからは、守るべき誰かじゃない。 一緒に戦っていく後輩になる。 覚悟くんに言わせてみれば、スバルちゃんは生命の恩人で。 スバルちゃんがいなければ、火事の中、一人で力尽きていて。 そんな子を戦わせるのはやっぱり嫌って本音は、きっと、どうにもならない。 でも、そんな覚悟くんだから、わたしはすっごく期待してる。 絶対に死なせたくなくて、その上、スバルちゃんの戦う意志が揺るがないなら。 覚悟くんは、スバルちゃんにティアナちゃん、それとまだ来ていない二人にも、 育てるために全身全霊を尽くしてくれる。 これは確信かな。 その後、試験が終わった二人に、すぐ機動六課の話を持ちかけた。 二人が出会った、あの怪人の背後関係を今は追っているって説明した。 だから多分、他よりも、ずっと危険で血なまぐさい仕事を請け負うことになるよ、って。 断りたければ、断ってもいい。 二人にはその権利があるから、って。 …答えはね、ふたつ返事だったよ。 これからよろしくね。 スバル、ティア。 わたしも、二人を絶対、死なせたりしないから。 スバル・ナカジマ、およびティアナ・ランスター。 この二名は良し。 だが、もう二名はどうか? エリオ・モンディアル、およびキャロ・ル・ルシエ。 魔導の素質すぐれたるフェイトの養子二人。 スバルとティアナが今回の試験にて勝ち取った陸士Bランクを、 エリオなる少年、すでに保有しているも、それだけでは信用できぬ。 精神(こころ)伴わぬ戦闘力は危うき候。 たとえるならば、嵐に揺らるるいかだの上、樽に詰まったニトログリセリンに同じ。 保有する大破壊力、正しく扱えねば自らを滅ぼす。 これ父、朧(おぼろ)の教えなり。 ゆえにおれは問わねばならぬ。 両名の、戦士としての了見を。 別にフェイトを信じぬわけではないが、こればかりは拳を突き合わせねばわかるまい。 両名を機動六課官舎に呼びつけて早々、おれは模擬戦を申し込んだ。 むろん、フェイトが立ち会う。 養子二人がこれより志望するは、殺意うずまく戦場なれば、 むざむざ死にに行かせるを承知するわけもなし。 ただ、これだけを言って、この模擬戦を許したのだ。 「私は信じてるよ。 二人の持ってる、ゆずれないもの」 「その言葉、覚えたぞ」 模擬戦場には、基礎的に廃墟を設定。 高速道路跡上にて、おれと両名は向かい合っている。 紅の少年と、桃色の少女。 まだ年端もいかぬ子供… とはいえ、おれとて十歳にして零式鉄球をこの身に埋め込んでいるのだ。 そして、さらには。 あの高町なのはも、フェイト・テスタロッサ・ハラウオンも… はやてまで、十歳に届かずして実戦に身を投じているという。 すなわち、身体未成熟であろうが、面影に幼さ残っていようが、あそこにあるは未知の敵。 いささかなりとも、あなどる気は無し! 「正調零式防衛術(せいちょう ぜろしきぼうえいじゅつ)、葉隠覚悟…参る!」 「…エリオ・モンディアルと、ストラーダ!」 「う、あ、あの…」 紅の少年、エリオは槍を掲げて返礼したが、 少女は気後れしきって何も言わぬ。 早くも底が知れたか? そのようなわけはあるまい。 「名乗れ! 戦う前から気迫に呑まれてどうする!」 一喝。 これでひるんでしまうならば、戦場に立つ資格なし。 だがそこで、傍らにいたエリオ、少女の背を軽く叩き、 振り向く少女に目を合わせ…うなずく。 そして再び、槍をこちらに構え、突き出す。 宣戦布告、確かに見たり。 少女もまた、気合いを入れ直し、今度こそ名乗った。 「召喚師、キャロ・ル・ルシエ! フリードリヒと、ケリュケイオン!」 エリオから多少の力をもらったか。 それも良し。 少女、キャロの背に隠れていた竜、フリードリヒも姿を現わし、開幕準備完了。 「…来い!」 戦士の礼にて、相手つかまつる! 前へ 目次へ 次へ